のどかのお悩み
「は、ハルナ〜?!どうしたのー!?」
のどかが心配そうに声をかける。ハルナは不気味な笑いを浮かべ、のどかの肩をつかみ言った。
「のどか〜、ヤバイのよ…いつもなら締め切り前でも何とかなるんだけど、今回はホントにもーだめっぽい…」
「ヤバイってーマンガの締め切りだよねー?」
のどかは、少し動揺しつつハルナに聞く。
「そーなのよ!!ヤバイのよ!!学園祭準備と掛け持ちでやってたのがマズッたわ…」
ハルナは頭を抱えて、大げさに床に崩れ落ちた。のどかはあわててハルナに近寄る。
「ハルナー、私も手伝うよー」
のどかがそういうとハルナはすごい勢いで彼女の手をつかみ、言った。
「ホント?!ありがと〜!!持つべきはいい親友だね!夕映はもう手伝ってくれてるんだけど、ホント助かるよ〜」
彼女は先ほどまでとは一転して、元気にのどかの手を引っ張り、自室に連れて行く。
のどかに部屋に入ると、そこでは綾瀬夕映がもうすでに座ってせっせとベタ塗りをしている。
「ハルナ、このページのベタ塗り終わったです」
そう言って夕映は、ハルナに原稿を渡す。
「おっ、夕映、サンキュー!あっのどか、そこに座って早速お願いね〜」
「う、うんー」
のどかは返事をして、夕映と机をはさんで対面するような形で座る。
「毎度の事ですが、のどかも大変ですね」
彼女に話しかけてきたのは夕映だった。毎回のことなのであきらめているような口調だ。
「コラコラ〜!話してないで作業作業!」
ハルナが二人に注意をする。のどかは自分の前に置かれた原稿にトーンを貼る作業を始めた。
数時間がたち黙々と作業を進める三人。のどかは一枚トーンを貼り終え、ハルナに渡す。するとハルナはそれを受け取りのどかにたずねる。
「ねぇ、のどか。ここのこのシーンなんだけど、足を舐めろって言ったほうがいいかなぁ?」
「あ、足ー?!」
のどかはドキンとして慌てふためき叫ぶ。ハルナは彼女のリアクションを楽しむかのようにケラケラと笑い、言った。
「何、驚いてるのよ〜。このシーンはギャグなのよ」
のどかが再確認すると、確かにギャグだった。
しかし、彼女はそのことで、ネギとの学園祭を一緒に回る約束を思い出す。作業をする手が一瞬止まり彼女の思考がそのことでいっぱいになる。
それからのどかは、あまり作業に身が入らなかった。
ようやくハルナの手伝いを終えて、大浴場に向かう夕映とのどか。ハルナは、最後の仕上げで後から行くと言って、部屋にこもっている。
大浴場の広い湯船につかり、のどかは一息つくが、彼女の思考はネギのことでいっぱいだった。
そこに、夕映から、声がかかる。
「のどか、ネギ先生のことで何か悩んでいるのではないですか?」
「えっ?!わ、わかるのー?」
のどかは夕映のほうに振り返り、聞いた。
「わかります。のどかが悩むといったら最近はネギ先生関連ですから。さぁ、話してみるです。私でよかったら相談に乗るですよ?」
夕映の言葉に、のどかは、ぽつり、ぽつりと話し始める。
お姉さんらしくについてのこと。ネギと学園祭回るのにどうしたらいいか悩んでいたこと。そのことで不安で不安でたまらないこと…。
のどかがすべて、話し終えると夕映はふっと優しく笑い、言った。
「そんなことなら、何も悩むことはないです。のどかはネギ先生のこととなると悩みすぎなのです。のどかはいつもネギ先生と接しているようにしてればいいのです。
まあ、のどかの考えるお姉さんらしくは少し間違っていますが…」
夕映はそこまで言って一呼吸おいてから、続ける。
「背伸びなんてしないでありのままの自分でぶつかっていけばいい、と私は思うです」
「…夕映…。うん、そうだよねー…私、がんばる…」
のどかは自分に言い聞かせるように強く、つよく、うなずいた。
麻帆良祭当日まで、あと30時間とちょっとの出来事だった
〜完〜
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